パリじゃないフランス。ノルマンディーに20年以上暮らして感じる、この土地の魅力
フランスといえば、パリ。
でも私は、20年以上ノルマンディーに暮らしています。
よく、
「なぜパリではなく、ノルマンディーなんですか?」
と聞かれることがあります。
理由はいろいろありますが、その一つは、実はとても単純です。
私は名古屋生まれの名古屋育ち。
暑いのが、とても苦手なんです。
ノルマンディーでは、30度を超えるような暑い日はそれほど多くなく、夏でも比較的涼しく過ごせます。
もちろん、冬は寒いです。雪はそれほど多くありませんが、朝晩は凍てつくこともあります。そして、雨の多い地方でもあります。
でも私は、この少し灰色がかった空や、しっとりとした空気が好きです。
パリのような華やかさとは少し違って、ノルマンディーには、時間がゆっくり流れているような感覚があります。
木組みの家が並ぶ街。
石畳の小道。
リンゴ畑。
どこまでも続く牧草地。
いわゆる「観光地」というよりも、人々が普通に暮らしているフランスを感じられる場所です。

日曜日の朝、ルーアンを歩く
例えば、少し曇った日曜日の朝。
ルーアンの旧市街を歩いていると、木組みの建物が静かに並ぶ向こうから、大聖堂の鐘の音が聞こえてきます。
私はルーアンの丘の上に住んでいるので、自宅にいても、ときどき遠くからその鐘の音が聞こえます。
旧市街では、もちろんもっと大きく聞こえます。
あまりの音量に、以前、旧市街に住んでいる方に、
「毎日こんなに大きな鐘の音がして、大丈夫なんですか?」
と尋ねたことがあります。
すると、その方は、
「この鐘の音も、窓から見える風景も、全部ひっくるめて気に入っているから、ここに住んでいるんだ」
とおっしゃいました。
なるほど。
古いものを壊して新しくするのではなく、古いものと一緒に暮らしていく。
なんだか、とてもフランスらしい答えだなと思いました。

ノルマンディーは、モン・サン・ミシェルだけではありません
日本でノルマンディーといえば、まずモン・サン・ミシェルを思い浮かべる方が多いかもしれません。
でも、ノルマンディーの魅力はそれだけではありません。
小さな港町や海辺の村。
昔ながらのマルシェ。
牛たちがのんびり草を食む牧草地。
リンゴの木が並ぶ田舎道。
そして、ガイドブックにはほとんど載っていないような小さな町や村。
そういう何気ない場所にこそ、私は**「本当のフランス、そしてノルマンディーらしさ」**を感じます。
有名な観光名所ではなくても、なぜか心に残る風景。
そんな場所が、ノルマンディーにはここかしこにあります。
私はそんなノルマンディーの景色が好きで、20年以上たった今も、ここで暮らしています。
そしてガイドとして皆さまをご案内するときにも、有名な観光地を見るだけではなく、できればそんな「パリとは少し違うフランス」を感じていただけたらと思っています。
